坂門人足(さかとのひとたり) 巻1-54
   大宝元年辛丑(しんちう)の秋九月に、太上天皇(おほきすめらみこと)の紀伊国(きのくに)に幸(いでま)しし時の歌
   巨勢山(こせやま)の つらつら椿 つらつらに
   見つつ思(しの)はな 巨勢の春野を
口訳    巨勢山につらつらと連なり咲いているたくさんの椿たち。
  その椿をつらつら見ながら、巨勢路に春咲く椿の美しさを褒め称えたいものです。
原文    大宝元年辛丑秋九月、太上天皇幸于紀伊國時歌
   巨勢山乃 列々椿 都良々々尓 見乍思奈 許湍乃春野乎
場所  御所市古瀬・阿吽寺境内 (揮毫者・犬養孝)
写真  

  
2012.2.4
場所  鹿児島県薩摩川内市中郷・万葉の散歩道 (揮毫者・大久保高洋)
写真  

  

  
2020.2.17
701年、持統太上天皇が19歳の孫文武天皇とともに紀伊牟婁の湯行幸の時に作った歌。
「巨勢」は、奈良県南葛城郡葛村古瀬の辺りで、今も椿が所として有名です。
大和にはあちらこちらに椿の名勝地があります。
「巨勢山のつらつら椿」は、「つらつらに」を導く序詞。
なんだかうきうきすうる歌ですね。



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