但馬皇女(たじまのひめみこ) 巻2-116
   但馬皇女(たぢまのひめみこ)の、高市皇子(たけちのみこ)の宮に在(いま)しし時に、
   竊(ひそ)かに穂積皇子(ほづみのみこ)に接(あ)ひて、事すでに形(あら)はれて作りませる歌

  人言(ひとごと)を 繁(しげ)み言痛(こちた)み 己(おの)が世に
  いまだ渡らぬ 朝川渡る
口訳   人の噂が辛くても、いえそれだからこそ。生まれて初めて、あの人に会うために冷たい水の流れる朝川を渡ります。
場所  桜井市出雲・初瀬川堤 (揮毫者・阿波野青畝)
原文    但馬皇女在高市皇子宮時、竊接穂積皇子、事既形而御作歌
  人事乎 繁美許知痛美 己世尓 未渡 朝川渡
写真  

  
2011.11.30
但馬皇女が穂積皇子を恋い慕ってつくった歌です。
但馬皇女は天武天皇の皇女で、穂積皇子も天武天皇の皇子ですが、異母兄。
当時は母親が違えば結婚も許されたのです。
しかし、但馬皇女はこのとき、同じく異母兄の高市皇子の妻でした。
高市皇子は当時の政界第一の実力者でしたから、彼女の恋愛事件は宮廷社会で大きな噂となったようです。
事が露わになった後も、自分から恋の障壁を渡って恋人に逢いたいと願っています。

歌碑の近くに十二柱神社があります。
狛犬の台座を相撲取りが支えているのが興味深いです。



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