穂積皇子(ほづみのみこ) 巻2-203
   但馬皇女(たぢまのひめみこ)の薨(かむあが)りましし後に、
   穂積皇子の、冬の日に雪の降るに、遙かに御墓(みはか)を見さけまして
   悲傷(かなし)み涕(なみだ)を流して作りませる歌

  降る雪は あはにな降りそ 吉隠(よなばり)の
  猪養(ゐかひ)の岡の 寒からまくに
口訳   降っている雪よ、もうこれ以上ひどく降らないでおくれ。(但馬皇女の墓所の)吉隠の猪養の岡が寒くなるから。
場所  桜井市吉隠・公民館前 (揮毫者・今日出海)
原文    但馬皇女薨後、穂積皇子、冬日雪落、遙望御墓、悲傷流涕御作歌
  零雪者 安播尓勿落 吉隠之 猪養乃岡之 寒有巻尓
写真  
2012.2.18
雪の降る冬の日、穂積皇子が、亡くなった但馬皇女(たじまのひめみこ)の墓を遠く望み、涙を流しながら詠んだ歌です。
二人は熱烈な恋をしていました。
穂積皇子は天武天皇の皇子、但馬皇女も天武の皇女で二人は異母兄妹ながら、当時は母親が違えば結婚も許されていました。
だから、兄妹の間で恋愛をするのは決して珍しくはなかったのです。
しかし、但馬は同じく異母兄の高市皇子の妻だったからややこしい。やがて、二人の関係は噂になっていました。



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