大伴旅人 巻3-446
   天平二年庚午(かのえうま)。冬十二月に、大宰帥(だざいのそち)大伴卿(おほとものまえつきみ)の京に向ひて道に上る時に作れる歌
  我妹子(わぎもこ)が 見し鞆の浦の むろの木は
  常世(とこよ)にあれど 見し人ぞなき
    
口訳   大宰府に赴任する時には、一緒に見た鞆の浦のむろの木は、そのままに変わらずあるけれど、
  このたび帰京しようとしてここを通る時には、妻は今はもうこの世にはいないのだ。
     
原文    天平二年庚午。冬十二月、大宰帥大伴卿向京上道之時作歌
  吾妹子之 見師鞆浦之 天木香樹者 常世有跡 見之人曽奈吉
場所  広島県野福山市鞆町・対潮楼石垣下 (揮毫者・徳永豊)
写真  

  
2013.5.31
天平二年(西暦730年)十二月、
大伴旅人が大宰府から都に向かう途中に通った鞆の浦で、
亡くなった妻のことを想って詠んだ歌です。



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