笠女郎(かさのいらつめ) 巻4-593
   笠女郎の大伴宿祢家持に贈れる歌
  君に恋ひ 甚(いた)も術(すべ)なみ 平山(ならやま)の
  小松が下(した)に 立ち嘆くかも
口訳   あなたが恋しくてどうしようもありません。奈良山に生える小松の下で立ち嘆いています。
場所  奈良市法蓮町・狭岡神社境内 (揮毫者・岩井紀枝)
原文    笠女郎贈大伴宿祢家持歌
  君尓戀 痛毛為便無見 楢山之 小松下尓 立嘆鴨
写真  
  
  
2019.12.6
笠女郎は笠金村の娘ともいわれるが定かではない。
万葉集の中に29首あるが、すべて大伴家持への恋歌である。

青年期の大伴家持をめぐる数多くの女性のひとり。
個性的で力強く、家持への慕情を切々と訴えたものが多い。
家持はそのパワーに圧倒されていたのか。
家持からの返歌は2首のみ。
それも「どうせ成就しない恋なら出会わなければよかった」といった消極的な内容。

奈良山は平城京の北に連なる佐保、佐紀山のこと。
奈良山の松の下にたたずんで、家持の屋敷のある佐保をじっと見つめる女郎。
女郎の熱い恋心が伝わってきます。

狭岡神社は奈良高校の西側にあります。
神々しい雰囲気があり、手入れも行き届いています。
歌碑は石段をのぼる途中にあって、ジョギングでさがしていると見落としてしまい、
長いこと見つけられていませんでした。
歩いていってみると思いっきり視界に入ってきます。



トップページへ