山上憶良 巻5-798
   挽歌
  妹が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし 
  我が泣く涙 いまだ干(ひ)なくに
口訳   妻の死を悲しみ、私の涙がまだ乾かぬうちに、妻が生前喜んで見た庭の楝(=栴檀)の花も散ってしまうのだろう。
場所  橿原市南浦町・万葉の森 (揮毫者・杉岡華邨)
原文    
  伊毛何美斯 阿布知乃波那波 知利奴倍斯
  和何那久那美多 伊摩陀飛那久尓  
写真  


2011.3.6 
妻を亡くした大伴旅人に奉った歌。
作者の山上憶良は、百済からの渡来人であり、藤原京時代から奈良時代中期に活躍しました。
漢文学や仏教の豊かな教養をもとに、貧・老・病・死、人生の苦悩や社会の矛盾を主題にしながら、
下層階級へ温かいまなざしを向けた歌が多く収められています。




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