大伴坂上郎女 巻6-993
   坂上郎女の初月(みかづき)の歌
  月立ちて ただ三日月の 眉根(まよね)掻き
  日(け)長く恋ひし 君に逢へるかも
口訳   姿をあらわしてたった三日という細い月のかたちの眉を掻いて、
  ずっと恋しく思っていたあなたに逢えました。
場所  奈良市法蓮町・佐保川堤 (揮毫者・山本佳代)
原文    坂上郎女初月歌
  月立而 直三日月之 眉根掻 氣長戀之 君尓相有鴨
写真  

  
2015.4.9
  藤原麻呂との恋を失った大伴坂上郎女は、高齢の異母兄・大伴宿奈麻呂に嫁ぎましたが、
  二人の娘が生まれた後、夫に先立たれます。
  そして、大宰府にいる異母兄・大伴旅人が妻・大伴郎女を亡くしたので、旅人と住むことになりました。
  その理由としては、旅人の後妻になるためとも、旅人やその子・家持らの世話をし、
  大伴一族の家刀自(いえとじ)として家政を取り仕切るためとも言われています。
  やがて坂上郎女は、甥の家持の歌の指導を行うようになります。
  「三日月の眉根」は、黛(まゆずみ)で描いた引き眉のこと。
  細く三日月のように描くのが中国風の最新モードとされていました。
 



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