未詳 巻7-1135
   山背にして作れる
  宇治川は 淀瀬なからし 網代人
  舟呼ばふ声 をちこち聞ゆ
口訳   山背(やましろ)で作る
  宇治の川にはゆるやかな浅瀬がないに違いない。舟を網代の番人があちらこちらで呼んでいる。
原文    山背作
  氏河齒 与杼湍無之 阿自呂人 舟召音 越乞所聞
場所  京都府宇治市宇治山田・朝霧橋 (揮毫者・山本万里)
写真  

  
2021.1.9
「淀瀬」流れのゆるやかな浅瀬。舟を必要としないほど浅く淀んだ瀬。
「なからし」〈なくあるらし〉の転。
「網代人」夜、かがり火を焚いて網代の番をする人。
「網代」晩秋から冬にかけて、川の瀬の両側に杭を打って水をせき止め、網の代わりに竹や柴を編んで並べて小魚を獲るしかけ。
「呼ばふ」何度も呼ぶ。
「をちこち」遠くと近く。あちこち。






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