高橋虫麿 巻9-1748
   春三月に諸(もろもろ)の卿大夫等(まへつきみたち)の難波(なには)に下りし時の歌
  吾が行は 七日は過ぎじ 龍田彦
  ゆめこの花を 風にな散らし
  
口訳   私の旅は七日を越える事はないでしょう。だから龍田彦の神様よ、決してこの花を風に散らさないで下さい。
    
原文    春三月諸卿大夫等下難波時歌
  吾去者 七日者不過 龍田彦 勤此花乎 風尓莫落
   
場所  生駒郡三郷町立野・JR三郷駅西100m (揮毫者・犬養孝)
写真  


2014.11.2
平城京の人々は、難波に旅するとき、今の奈良県三郷町立野で竜田山を越える道を選ぶことが多かった。
(他には生駒越えのルートがあったがこちらは険しかった。)
高橋虫麻呂たち役人の一行も、ここを通って難波に向かう。
竜田山の嶺に咲く桜の花は、春雨で散りかかっているが、
「わたしたちの旅行も7日とはかからないから、竜田の風の神様、龍田彦さま、どうか帰りに立ち寄るまでは、風でこの花を散らさないで。」
との願いを詠んだ歌です。



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