遣新羅使(けんしらぎし)の一人 巻15-3602
   所に当りて誦詠(しょうえい)せる古歌
  あをによし 奈良の都に たなびける
  天の白雲(しらくも) 見れど飽かぬかも
口訳   奈良の都にたなびく白い雲は、ずっと見ていても見飽きないものですよ。
  都に私の愛する人がいればなおさらのことです。
場所  奈良市二条大路南・奈良市役所前庭 (揮毫者・杉岡華邨)
原文    當所誦詠古歌
  安乎尓余志 奈良能美夜古尓 多奈妣家流 安麻能之良久毛 見礼杼安可奴加毛
写真  
2012.3.10
天平8(736)年4月、聖武天皇により新羅派遣の命が下り、大使に阿倍継麿、副使に大伴三中が任命されました。
一行は6月に難波の津を出発、瀬戸内海を西に進みました。
しかし、台風に遭い、延々と日程を重ね秋が深まってもなお対馬に停泊、やっとたどり着いた新羅では接見が許されず、派遣は不首尾に終わりました。
帰京は翌年正月27日。
副使は遅れて3月28日に帰京。
大使は対馬で病没しました。
歌のほとんどは行きに詠まれ、帰途の歌はわずか5首。
愛する者のいる都はいつも望郷の対象でした。



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