大伴家持 巻19-4292
   二十五日に、作れる歌
  うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり
  情(こころ)悲しも 独し思へば
   春日は遅遅(うらうら)にして、雲雀正に啼く。
   悽惆(せいちう)の意(こころ)は歌にあらずは撥(はら)ひ難し。
   仍(よ)りてこの歌を作り、式(も)ちて締(むすば)れし緒(こころ)を展(の)ぶ。
   ただこの巻の中に作者の名字を尓(い)はず、ただ年月・所処・縁起のみを録(しる)せるは、
   皆大伴宿禰家持の裁作(つく)れる歌詞なり。

口訳   うららかな陽光の春の日に雲雀の声も空高く舞い上がっている。
  なのに一人もの思う私の心は悲しい。
場所  奈良市春日野町・氷室神社 (揮毫者・藤岡都逕(書家))
原文    廿五日、作歌
  宇良宇良尓  照流春日尓  比婆理安我里  情悲毛  比登里志於母倍婆
   春日遅々雲雀正啼。悽惆之意非歌難撥耳。仍作此歌、式展締緒。
   但此巻中不稱作者名字、徒録年月所處縁起者、皆大伴宿祢家持裁作歌詞也。

写真  

  


2018.5.5
<氷室神社について>
和銅3年(710年)、元明天皇の勅命により、吉城川上流の月日磐に氷神を奉祀し、
厳寒に結氷させたものを氷室に蓄え、翌年に平城京へ献氷させる制度が創始された。
…とあります。
大型連休中に、ひむろしらゆき祭というイベントがあったときに取材してきました。



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