他田舎人大嶋(おさたのとねりおおしま) 巻20-4401
   信濃国の防人部領使の進れる歌
  韓衣(からころも) 裾に取り付き 泣く子らを
  置きてぞ来(き)のや 母(おも)なしにして
   右の一首は、国造(くにのみやつこ)小県(ちひさがた)の郡(こほり)の他田舎人大島。 
口訳   衣の裾に取り付いて泣く子供たちを置いてきました。母もいないのに。
  
原文    信濃国防人部領使進歌
  可良己呂武 須宗尓等里都伎 奈苦古良乎 意伎弖曽伎怒也 意母奈之尓志弖
   右一首、國造小縣郡他田舎人大嶋。
場所  長野県千曲市上山田・千曲川萬葉公園南側 (揮毫者・中村清山)
写真  


2013.4.21
信濃国の歌。
「韓衣」は大陸風の衣服。
男手で育ててきた子供らとの別れを思い出し、どうしてやることもできない辛さを歌っています。
防人という公務が個人的事情など一切考慮されない強制力の強いものだったことがうかがわれます。



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