しまなみ海道100kmウルトラ遠足2014・完踏編

突然ですが、人間50歳を過ぎるとずいぶんわがままになります。
スポーツにもゲームにもルールがあって、
それは守らないといけないのだけれど
「ちょっとくらい守れなくってもいい」っていわれちゃったりすると
「そうか。そうなんや。」って思っちゃいます。

そういうわけで、今回の私のしまなみ挑戦は、
これまでの自分のように、自分で話をおとなしくまとめてしまって自主的にリタイアするっていう
紳士的なルールをとっぱらうことにしていました。
だって「しまなみ」はもともと(常識的な限度やマナーはあるものの)ゴールをあきらめない人を最後まで迎えてくれる大会だったはずなので…。

私のしまなみ挑戦歴は、
2005年70kmリタイア
2006年DNS
2011年90kmリタイア
2012年90kmリタイア
2013年70kmリタイア
です。

今回は初心にかえって
大会の少し前から、初めてウルトラマラソンに挑戦したときに読んだ
「決定版!!100km・ウルトラマラソン」という夜久弘さんの本を何度も読み返しました。
2002年に書かれた本だからずいぶん前のお話です。
ランニングブームの直前だったから、
皇居でジョギングすることもすごく簡単だったように書かれています。

  私のウルトラ挑戦のバイブル

この本にはウルトラマラソンの魅力が余すところなく書かれていて
「100人のランナーがいたら100とおりのストーリーがあること」
「それは決して完走できる人だけに用意されたものではなくて、
物事を損か得か、成功か失敗かでしか判断できない人には決して用意されていないものであること」
つまり結果だけがすべてではないということ。
「フルマラソンまでのロードレースは隣の人とあまり話すこともなくゴールまで走って終わってしまうけど、
ウルトラマラソンには参加者同士のふんだんな会話やふれあいがあり、
長丁場の中で遭遇するさまざまな局面にいかに対処していくか、
自分を見つめ、自分と対話し、また、それぞれの局面で違う力量の参加者と接する楽しみがあること」
など、学ぶところの多い本です。

今回はこの本をカバンにしのばせて、行きのバスでも自分を盛り上げるために読んでいくことにしていました。
その一方で、「完走の秘訣はあきらめないこと」というごくごくシンプルでありながら奥の深い言葉を
ツイッターやブログで毎日のようにつぶやきまくっていました。

さて、移動日。
橿原を出発したのは大会前日の7時30分。
通勤電車にゆられていますが、自分ひとりだけTシャツにGパン姿です。
ちょっと快感です。

例によって移動日名物の「なんでこんな100キロも走らなあかん大会に申し込んでしもたんやろう」という後悔の念も若干顔を出します。
まさに期待半分、不安半分てかんじですな。

辻井さんとはO-CATで待ち合わせ。
昨年と同じく9時15分発の福山・府中行きびんごライナーに乗りこみます。

  バスは9時15分発

けっこうたくさんのしまなみランナーが乗りこんでいます。
バス道中は4時間でしたが、
件の「決定版!!100km・ウルトラマラソン」を開くたびに睡魔に襲われ、
トイレ休憩でバスを降りることもなく
気がついたら福山に着いていました。

途中、ちょっと雨が降っていたようです。
最近は天候が不順で天気予報がなかなか当たりません。
福山でも降ったりやんだりしていました。

13時30分に福山に到着してから14時の受付開始までの間にお昼ご飯。
最近定番になっている一丁さんの尾道ラーメン。
魚介系のダシのきいた醤油味で、背脂がいっぱいのってるのにくどくないのが特徴でお気に入りです。

  尾道ラーメンLOVE!

お腹を満たすと受付へ。
雨模様なので屋外スペースは使っておらず、こじんまりとした受付会場でした。

  受付会場

  受付風景

今回はここの受付の物品販売で「秘密兵器」を入手しました。

  これです。コウノエベルト!

デサントのブースのおにいさんにちょっと声かけられて
愛想を返していたら
「走る時、どこが不安ですか?」ときかれ
「まあ、腰がいちばん不安でんな」とこたえると、いきなり
「ほな、私に向かって正面むいてください」といきなりいわれて
そのにいさんの方をむくと、いきなり腰にベルトを巻かれました。

ところがこれがいカンジなんです。
腰がすごく軽くなったような感じ。
これも縁のもんだと思い、今回のしまなみ挑戦のおまじないにと購入しました。
定価約6千円のが5千円。これまたトクした気分。
買い物はこうして楽しんでしないといけませんな。

あと、久しぶりに激マズのベスパというサプリも1個500円で売ってたので、これまたおまじないとして仕入れました。

受付を済ませた後は速攻でホテルにチェックイン。
受付会場から徒歩1分てとこです。

いつもはなにがしかの観光をしてしまうのですが、
今回は雨模様だったこと、けっこうお疲れ気味だったことからおとなしくホテルで休んでることにしました。
辻井さんは自分が2年前にいった自動車博物館に雨の中をおしていったそうで
えらく満足して帰ってこられました。
好みはわかれると思いますが、めちゃくちゃ楽しいとこなので自分もまた行きたいと思っています。
かくいう自分は結局晩ご飯まえの16時30分まで眠っていました。

17時からあっこさん、みやけんさんとお好み焼きにいくことにしていたので、駅前で落ち合ってこれまたここ数年定番になっているお店へ。
お店に入ってみたら「予約席」の札が2席。
1席が18時からだということなので18時までにお店を出るからということでその席を使わせてもらうことにしました。
毎年だんだん食べる場所も確保しにくくなっていくなあ。

  広島風お好み焼き。自分はノンアルコールビール。

  今回参加のお仲間

あっこさんは今回、自信がなさそうでしたが、
なんだかんだいって、いつも私をおきざりにしていってしまうので、
自分はあっこさんいつ、どこで追い抜かれるのかをイメージしていました。
因島でおきざりにされるのが常だったので、伯方島くらいまでねばれたら自分も完走の勝算あるな、とか思っていました。

さくっとご飯をすませたあとはコンビニで翌日の朝ごはんを仕入れてホテルに戻りました。

ホテルでは行程を見ながら完走早見表を念入りにチェックしていましたが、
いつの間にか寝入ってしまっていました。

  コースの行程。橋の長さの説明入り。

  必殺完走早見表!

目覚めたのは2時30分。
いつもより多いおにぎり2個と菓子パン1個を食べながら準備にかかります。

今回はアミノバイタルSAVASなどのサプリのほか、
ガスター10ロキソニンなど、ドーピング剤も豊富です。
鯖街道でどっさりマメができてしまったので
足指に巻くテーピングの用意もしてきていました。

どんなに遅くなってもゴールまで自分の足で行こうと決めていたので
念入りにテーピングを施します。
親指、人差し指、小指が3週前の鯖街道でやられてしまったあとまだ完全に治っていなかったのでかっちり貼りました。

あと、足が攣ってしまうことも心配だったのですが、
これはあとでふれますが、あっこさんコムレケアという秘密兵器を分けてもらえたのが好結果を生みました。

3時30分に辻井さんにお目覚めメールを送ると、返信に「雨やで!」と。
それまで自分気づいていませんでした。
去年の反省から、ビニールカッパも羽織ることにしました。

4時に荷物を預けてスタート地点へ。

  荷物預け(4:03)

雨だったことを考えるともう少し遅くしてもよかったかもしれません。
しばらく福山城博物館の入り口で雨宿りしていると空が白んできました。
雨もなんとか上がって、蒸し暑くなってきたのでビニールカッパを脱いでスタート地点付近へ。
気がつくとあっこさんが見つけてくれました。

  雨もあがってやる気満々!(4:44)

5時、スタート。
いつもながらのゆる〜いスタートです。

  スタートは5時(5:00)

参加者は1200人で、一般の歩道を信号待ちしたりしながら進むので
最初はほとんど歩きになります。

ゆったりめの入りを心がけたのでペースは遅かったと思いますが、
わりと快調でした。

  信号待ち中(5:11)

  信号待ち中(5:23)

  5kmエイドはキミセ醤油前。目標よりマイナス2分。順調!(5:42)

10kmエイドは神村トンネルの入り口。
ここはコーラエイドです。
トンネルをたくさん通りますので、
はやく通り抜けたいところですが、
ここでじっくりいくのが秘訣と思い、耐えました。

  10kmエイド。目標に追いつきました。(6:15)

14.9kmエイド。
うどんで有名なエイドですが、過去につらい思いをしたことがあるのでうどんはパス。
最初のほうのエイドは水分しかとりませんでした。

  14.9kmエイド。おつりが2分できました。(6:47)

エイドをすぎるとすぐに15km地点。
ここで尾道市に入ります。

  15km地点。尾道市突入!(6:49)

尾道市に入ってからはけっこういいペースでいくことができました。
ここを抑え気味にいけたのは大きいと思いマス。

  尾道大橋(385m)発見!(7:24)

  橋の真下が20km地点(7:25)

  ここで颯爽と現れた悪代官様に追い抜かれる(7:25)

  20.2kmエイド。計画どおりぴったし。(7:26)

ここから尾道大橋へとのぼる階段をのぼります。
しまなみ海道は橋でつながっているのですが、
その橋はけっこう高いところにあるので
橋をわたるたびにのぼったりおりたりをくりかえします。
これがけっこうこたえます。

  尾道大橋への階段。(7:34)

尾道大橋を渡ると向島。
24.5kmはスイカエイド。
今回はペース配分がうまくいったようで歩きたい衝動にかられることはありませんでした。
悪代官様とスイカエイドでも一緒だったということは
自分がウルトラのペースでうまく走れていたということなのでしょう。

  24.5kmエイド到着。3分のおつり。(7:57)

  悪代官様とキティちゃんもいっぷく中(7:57)

  自分はオレンジと梅干しが大好き(7:58)

  スイカを勧められます(7:58)

  悪代官様、スイカをおかわり中。(7:58)

悪代官様はとっても頭がムレムレだったのではないかと思います。
このあと気温がぐんぐん上がっていきましたもの。
この悪代官様には毎回このしまなみでお会いしています。
これからも全国各地で悪行の限りをつくして、私たち草ランナーに笑いと感動を与えてほしいと思います。

去年はこのあたりで歩きが入っていたように思いますが、
今年は大丈夫です。
やっぱり稽古とペース配分が成功したからだなと実感しましたです。

順調に29kmエイドまできました。

  29kmエイド到着。引き続き3分のおつり。(8:33)

  因島大橋(1270m)が見えてきた(8:41)

  因島大橋への登り階段(8:48)

  因島大橋通過中(8:50)

因島大橋を渡りきると因島。
すぐに34.7kmエイド、アメニティー交流館があります。
ここはみかん搾りジュースで有名なエイドです。
毎度のことながらおいしいオレンジジュースが提供されます。

  エイド直前にフォトサービスがあります

  みかん搾りジュースエイド発見(9:08)

  34.7kmエイド到着。14分もおつりができちゃった。(9:08)

  出迎えてくれたのは因島キャラのはっさくん(9:08)

  ジュースにありついた!めちゃうまい!2杯もらいました。(9:08)

気温が上がってきたこともあり、かぶり水をしました。
メガネがぬれることをきらう自分ですが、
最初はメガネを外して頭と首筋、そして帽子に水をかけてもらっていたのですが
このあとエイド毎にかぶり水をすることになり、
しまいがたにはメガネの上からかけてもらいました。
梅干しもできるだけ食べるようにしました。

ここで1回トイレ休憩。

それにしてもこの日はめちゃめちゃ暑くなり、日差しも強かったです。

  みなさんお疲れ気味です(9:11)

ここから次のエイドまでは5.4km。
けっこう長いです。

  元気に走ってた人が…(9:28)

  歩きだします(9:28)

そろそろ歩きが入りだしました。
それでも35km過ぎまで歩かないってすごいことだと思うのです。
自分にしては上出来です。

ここからコンビニでアイス買って食べてる時の歩きは「歩き」とカウントしない。
もし歩いてしまった時は電柱2本分走っては1本分歩く。
というルールを適用しはじめます。
電柱がないところでは200数えながら走っては100数えながら歩くことにします。

因島は景色がもう一つと思いますが、
コンビニが多いのがうれしいです。

コンビニでガリガリ君を買って食べながら歩いてると
「ガリガリ君、いいっすねー」とか話しかけてくる人がでてきます。
キロ9分ペース目標でやってるので、一緒に頑張ってる人とも会話がはじまります。

こっちは5回目なので、どのあたりにコンビニがあるとか
たしかこのへんに自販機があったとかだいたい覚えています。

これは大きなアドバンテージで、
エイドがどの辺にあるかすらわからなかった初期の頃のことを思うと
ぜんぜん安心感がちがいます。
ついでにトイレの計画とかもたてやすいですね。

「もうちょっといったらコンビニありますよ」とか言って
励ましあいながら、歩くのを極力おさえながら先へと進んでいきます。

そう、今回のテーマは「完走の秘訣はあきらめないこと」です。
止まらない限りゴールには近づいています。

今回はアリスの歌の
「速く駆け抜けることより、ただひたすらに走り続けろ」というフレーズを
何度も口ずさみながらがんばることが多かったです。
あと、後半の橋を渡るときの「瀬戸の花嫁」は定番です。
なんしか口をついてでてきます。
「島から島へとわたってゆくのよ〜」ってとこですね。

  やっとのことで40.1kmエイド到着。2分ビハインド。(10:13)

ここはたしかみかんゼリーがおいしかったような気がする。

次のエイドまでの6.1kmがきついですな。

  生口橋(790m)が見えてきました(10:30)

生口島橋へのぼるまえに今度はコンビニでコーラを補給。
去年、コーラを買いに入ったのにリポDを買ってしまったところだ。
何度も参加してるとコンビニの場所とかだいたいわかってるのでホントに安心です。

  生口橋通過中(10:51)

生口島橋でも恒例で、写真を撮ってくれるサービスがありました。
ゴール地点で1枚500円で売ってくれます。

  カメラの前では特に元気!

生口島はわたくしがもっとも苦手とする島です。
中間エイドはあるものの、いちばん気温も高くなるし、
「サンセットビーチ」ははじめて挑戦したときに灼熱地獄を経験したし。

46.2kmエイド田中様宅前は、そこで並ぶ時間にくらべてパフォーマンスが低いので
今回はパスしました。
いろいろ考えながら走るようになったな。

  46.2kmエイド到着。1分ビハインド。(11:06)

電柱2本走っては1本歩くのも板についてきました。
中間点エイド、B&G海洋センターに到着したのは11時35分。

  49.6km中間エイド到着。1分おつり。ええペース。(11:35)

  ここは中間エイドだけあって食べ物も豊富。(11:35)

ここにきた時点でテーピングの中で足指にいっぱいマメができているのはわかっていましたが、
実物を見るのが怖かったので靴を脱いでみることもなく
アミノバイタルゼリーのんだり、ロキソニンのんだりしてました。

  しばし腰をおろしてエアーサロンパスも施しました(11:43)

いったん腰をおろすと次の行動へのきっかけがつかめないものですが、
前にすわってはった女性が「マッサージしてもらったらだいぶ違うよ!」とのたまいました。

時間的には順調すぎるほど計画通りに来てたのですが、
はっきしいって精神的にも肉体的にもおつりがない状態だったので
ここは決断してマッサージに並んでみることにしました。

待ってる時間、多少の焦りはありましたが、
無理をして歩きだしてもガス欠をおこしているのは明らかだったので
筋肉に喝を入れてみることにしたのです。

並ぶこと約10分、感じのいいおじさんにあたりました。
「どこがつらいですか?全身っていったらだめよ(^^)」と茶目っけたっぷりです。
「うっ、先制攻撃されてしまいました。じゃ、ふくらはぎ中心ということでお願いします。」
5度目の挑戦であることなどお話してると
「このペースやったら大丈夫。」などとありがたいお言葉。
「ちょっとしゃべっただけでさんまの弟かと思たからあんさん奈良県民でしょ。」とも言われました。
奈良県民もすごい市民権を得たもんだ、などと感心してしまいましたが
よく考えるとゼッケンに出身県と名前が書かれていますのでそれを見て機転をきかせてくれたのかとも思います。
いずれにしてもいい気分転換になりました。
汗かいて身体きたないのに親切にしていただきどうもありがとうございましたm(__)m

マッサージしてもらったのは約5分てとこでしょうか。
エイドを出発したのは12時でした。

出発してほどなく神戸からの私設応援団と遭遇しました。
「マイペースでいいのだ!」という横断幕を見て感心していると
エアーサロンパス使わせてくれたりして、なにげにカンジのいいおふたりでした。

  これでいいのだ!(12:08)

結局、2年前に比べての貯金を中間エイドで全部使っちゃったことになりましたが
ま、これでいいのだ!
自分なりにあたらしいしまなみを楽しんでいるのだ!
でも、ゴールはあきらめないのだ。

  生口島の灼熱地獄はじまる(12:43)

  サンセットビーチが見えてきた(12:50)

サンセットビーチをフラフラになりながら進みますが、
お目当てのエイドにたどり着きません。
「たしかこのへんだったはず…」と思うようなところに来ましたが
「サンセットビーチ改修中!」みたいな立て看板が立っていて「はて?」ってカンジです。

サンセットビーチがすんで、舗装道路に変わろうかというようなところに
「今年のサンセットビーチエイド」がありました。
しかも堂々と「55.2km!!」と表示していて、去年までの距離表示と同じです。
「えー、うそー!」とか一瞬思いましたが、この距離表示のいい加減さもしまなみらしいところです。
実際は500m近く遠い所にサンセットビーチエイドがあったように思いますが、ま、いいです。
どうでもいいことだから。

  55.2kmサンセットビーチエイド。28分ビハインド。暑い暑い!(13:00)

生口島の海岸にそって単調なコースを進み、
やっと多田羅大橋(1480m)へののぼりにたどりつきました。
やはりいつもこの島はきついです。

  多田羅大橋への上り坂(13:28)

  多田羅大橋(13:29)

多田羅大橋からはおだやかな瀬戸の島々がよく見えます。
瀬戸の花嫁を自然と口ずさみます。

  島から島へとわたってゆくのよ〜(13:36)

  多田羅大橋通過中(13:41)

  愛媛県領へ突入〜(13:42)

  61.4km地点。大三島唯一のエイド、大三島インターチェンジ広場。25分のビハインド。(13:59)

ここのエイドも充実しています。
フルーツがたくさんあり、いちごもおいてありました。
冷たいおしぼりで迎えてくれるのがたまらんですな。
 

  はっさくといちごで元気が出た(14:00)

ちょっとやる気が復活してきていたので休憩もそこそこに次へと向かいました。
 

  歩いている人につられて歩いてしまう(14:03)

歩いてしまった時に「電柱ルール」を思い出せたのは今回の大きな収穫です。
単調な道が続きましたが、電柱ルールを実践したおかげで大崩れしないですみました。

  大三島にお別れして大三島橋(297m)をめざす(14:52)

  前にいるのは中間地点で私の前にマッサージを受けていた人(14:55)

  66.0km地点。伯方島に到着。42分ビハインド。(15:02)

自分がはじめてしまなみに挑戦した時は、
ここに到着したのが17時過ぎでした。

着実にウデをあげたもんだと感心しました。
当時はもう日が暮れかかっていたことを思うと
この日差しの強さは実力向上の証しでもあり、自信にもつながっています。 

ここからは次のエイドに向かってゆるやかな下りが続きます。

わりと距離は短いのですが、
間違えそうな道のいたるところにスタッフさんが立っていてくれるのがうれしいです。
なにがしかの言葉のやりとりをしますので、元気が補給できます。

  造船所を通過。走っているランナーとリタイアしてチャリンコにのってるおじさん。(15:19)

ほどなく70.1kmの伯方SCパークエイドに到着。
ここは名前を呼んで出迎えてくれるエイド。
「奈良県からお越しのおたしゃーん!いらっしゃーい!!」と呼ばれると
最後のひと踏ん張りがききます。

  70.1km伯方SCパーク。ただし看板は70.8km。28分のビハインド。(15:29)

去年はここでリタイアしました。
その時の到着時刻が16時過ぎ。
まずまずといったところでしょうか。

ここでも中間地点と同じくマッサージのサービスをしていましたが、
さすがに時間がピンチでしたので
おいしいものだけをいただいて早々に次をめざすことにしました。
 

  伯方の塩ようかん(15:30)

  そうめん。いつものエビでとったダシではなくふつうのめんつゆでした。(15:31)

  大島に向かって再スタート。向こうにみえるのは伯方大島大橋(1165m)。(15:31)

橋への登り口で恒例のおばちゃん声援隊の熱烈歓迎を受け、
ハイタッチで元気注入します。
それにしても元気なご婦人たちです。
 

  伯方大島大橋通過中(15:50)

  橋の上から伯方SCエイドを振り返る。造船所も見えます。(15:51)

  ここからの景色も瀬戸の花嫁が似合います(15:51)

伯方大島大橋を渡り、大島につくと
ここからが正念場ってとこでしょうか。
 

よたよたしながら海岸沿いをすすんでいると
あっこさんに声かけてもらいました。
もう「知った顔」には会えないのかなと思いながらすすんでいたのでめちゃくちゃうれしかったです。

35kmでリタイアして自転車でここまで来たそうで
いろいろと気遣いしてくれるのがうれしいです。

自分はこの時点で制限時間内完走がビミョーなところでしたが
なにがなんでも自力でゴールまでいく、いわゆる「完踏」という決心は固まっていましたので
「ゴールで待たないでね」ってお願いしました。

こんなこと言っている一方で「ゴールで待っててくれたら死ぬほどうれしい」っていう気持ちもありました。
サプリとかすすめてくれるやさしいあっこさんから痙攣対策コムレケアという薬をもらい、速攻でのみました。
これ、結果的によく効いたと思います。

  75.6km宮窪港前エイド。21分ビハインド。(16:28)

ここからまた無意味に上り坂が続きます。
頑張りどころです。

  けっこう上り坂が続く(16:40)

電柱ルールをこころがけてこつこつと前へ進みます。
でも足のマメがハンパなく痛くてたまらんです。

  80.7km吉海町バラ公園エイド。24分ビハインド。く(17:27)

明るいうちに来島海峡大橋(第一1570m、第二1515m、第三960m)を渡ってしまいたい自分としては非常につらい時間帯でした。
足のマメが痛いのとか、ふとももが攣りそうなのとか、お腹が減ってたまらないのとか
いろんな症状と思いが交錯します。
当たり前だけど「今回の挑戦は今だけ」ということだから悔いが残らないように、という思いはしっかりもっていたつもりです。
ただ、冷静な判断力はもうすでになくなっていたと思います。
時間の記録はデジカメに残っているので今だからこうして比較できますが、
その時の自分はほぼ心神耗弱状態にありました。
 

  最後の橋、来島海峡大橋が見えてきたく(18:12)

  橋への上り坂(18:33)

  86.6km来島海峡第一大橋を渡る前エイド。27分のビハインド。(18:35)

  エイドではお茶をペットボトルに補給しただけですぐに出発(18:36)

  クルシム海峡大橋へのアプローチをのぼる(18:38)

  クルシム海峡大橋をやっととらえたところ(18:39)

  きれいな夕日に見とれている場合ではない(18:42)

来島海峡大橋は3つにわかれていて全部で約4キロの長さがありますが、
橋ですので平らではなくビミョーに上りと下りを繰り返します。
横を自動車がけっこうなスピードでとばしていますのでけっこう怖い思いもします。
なにより単調で長いのがつらいです。
クルシマ海峡大橋ではなく、クルシム海峡大橋です。

  さて、明るいうちに渡りきれるのか?(18:42)

なんとか歩きとジョグをとりいれながら橋をわたりきると91.9kmエイドです。

  91.9km来島海峡第三大橋を渡り終えた所エイド。23分のビハインド。(19:35)

なんとか背景が明るいうちに渡り終えることができました。
エイドのスタッフ「あと1時間10分あったら大丈夫!」と言ってくれたのでなんだかほっとしましたが
よくよく考えると普通の足ならば8キロを1時間10分もあれば楽勝なんですが、
一歩足を進めるだけで飛び上がるほど痛いマメと、攣りそうな足をかかえてるのにほっと一安心している時点で冷静な判断能力を失っています。
でも、その時はそのことに気づかず
またもやお茶を補給しただけで、やる気満々で速攻次をめざしたのでした。

この時間をすぎると、急に暗くなります。
一緒に先をめざすランナーはほとんどゼッケンに反射テープを貼ってあり、
人によってはヘッドライトをつけたりしています。

市内の中心部にはいるとさすがに不要と感じましたが
次回挑戦するときは反射テープも用意しておこうと思いマス。

四国に上陸して今治城をめざす私は
傍から見たら「夢遊病者」のように見えたことだろうと思います。
走り方(歩き方?)もゾンビのようで、しかもあたりが暗くなっているものだから
突然出くわしたら悲鳴をあげるご婦人がいてもおかしくないように思いました。

  96.2km伊予銀行前エイド。21分のビハインド。(20:24)

あと3.8キロを36分!
「くそー!」と思いながら最後のエイドは写真とるだけでスルーしました。

それでもこれまでの挑戦と違ってすべてのエイドを店じまい前にクリアしています。
自分の中ではちょっとだけ誇らしいです。
あきらめようとおもえば、すっぱりあきらめられるような体調でしたが
今回は意地でここまできました。

ファイティングポーズはできるのですが、
少しジョグすると足が攣ってしまいそうになります。
ここで攣ってしまうと「ジ・エンド」になってしまうので
それだけは避けたいと思いながらゆるゆると進みます。
きっと普通に歩いているより遅いスピードで進んでいたと思います。

市街地に入りましたが、なかなかイメージしていた商店街とかが見えません。

あとどのくらいの距離だったかわかりませんが腕時計が21時を指しました。
ゲームオーバーです。

でも自分の中では終わっていません。

フラフラになりながらも絶対に止まりません。
いたるところでタクシーが「おいでおいで」していますが
自分は見向きもしませんでした。

やがて「あこがれの今治城」を抜けて最後の1キロへ。
心も身体もボロボロでしたが
なぜか「先に帰っといて」と私のほうからいってしまっていたあっこさんが待っていてくれるような気がして
それだけを励みにして一度も立ち止まらずに夢遊病状態のまま進みました。

最後のコーナーを曲がると
ゴールのゲートは片づけられていましたが、
あっこさんが手前から2人目にいるのがすぐに見つかりました。

やったぞー!!
21時28分、制限時間には間に合いませんでしたが
自分にとっては初めてすべて自力でクリアしたゴールでした。

  ゴールゲートのないゴール。でも自分のなかではありました。photo by あっこさん(21:29)

今回の挑戦、あっこさんをイメージしていなければもしかしたら今治銀座の隅っこで待機していたタクシー、
あるいは今治城の入り口でちょこんと待機していたタクシーに食べられてしまいそうな危うい完踏でした。

この完踏記を書いているのは大会から1週間たった日曜日です。
1週間たったのに、いまだにいつ帰ってくるかわからないのに自分を最後まで待っててくれたあっこさんの顔が忘れられません。

感謝感謝です。

ホテルに戻ると辻井さん死んでいました(今回はツインの部屋でした)。
辻井さんは35kmでリタイアして自転車で帰ってきたようですが、
あっこさんには一度も会わなかったようです。

走ってきたままのかっこうでくたっとなると1時間ほど気を失ってしまいました。
正確に言うと眠ってしまいました。

目覚めてから、「これではいかん」と思い、
足指のテーピングをはずしてみると
思ったとおり、両足の親指、人差し指、小指、そしてカカトに巨大な血マメができていて
豆腐屋さんができそうなくらいマメだらけでした。

バスタブにお湯をためてお風呂にはいりましたがそこで3度ほど溺れそうになりました。
と、いうのは湯船で眠ってしまい、身体がずりおちて鼻からお湯が入って目が覚めるというのを繰り返したのです。
そのくらい疲れていました。
でも、同じくらい達成感と充実感に満たされた夜でした。

エイドステーションと到達時間
N0.距離
(km)
区間
距離
(km)
エイド設置場所エイド
撤収
時刻
(公式)
2005
到達
時刻
2011
到達
時刻
2012
到達
時刻
2013
到達
時刻
2014
到達
時刻
所要
時間
(分)
sec./km
15.05.0福山・キミセ醤油の前5:555:415:395:475:365:42428:24
210.05.0福山・神村トンネルの入口6:456:136:106:216:106:15336:36
314.94.9福山・高西町セブンイレブンの前7:356:466:406:546:436:47326:32
420.25.3尾道大橋の下8:257:337:147:307:227:26397:22
524.54.3向島・肉屋「フジ」の前9:108:127:438:017:567:57317:13
629.04.5向島休憩所9:558:498:278:398:388:33368:00
734.75.7因島・アメニティー交流館10:509:319:039:119:129:08356:08
840.15.4デイサービスセンターふぁみりー因島前11:5010:4410:1810:1310:1810:136512:02
946.26.1生口島・田中様宅前12:4511:5111:1311:0911:1411:06538:41
1049.63.4生口島・B&G海洋センター13:2012:3011:4811:4311:4811:35298:32
1155.25.6生口島・サンセットビーチ14:0514:1813:2013:1213:0713:008515:11
1261.46.2大三島・大三島IC広場15:3015:4114:1514:0914:1313:59599:31
1366.04.6伯方島・大三島橋を渡った所16:2517:0915:3215:1915:3515:026313:42
1470.14.1伯方SCパーク16:5517:3916:0415:4516:0815:29276:35
1575.65.5大島・宮窪港前17:5017:2716:4616:285910:44
1680.75.1大島・吉海町バラ公園18:4518:3017:5317:275911:34
1786.65.9来島海峡第1大橋を渡る前19:3519:4019:1518:35689:50
1891.95.3来島第3大橋を渡りおえた所20:2020:5420:2719:356013:12
1996.24.3今治市・伊予銀行の前21:0020:244911:24
20100.03.8テクスポート今治(ゴール)21:286416:51

これだけ記録を並べると課題ははっきりしています。
最後のひとふんばりです。
でも、制限時間はオーバーしちゃったけど途中で一切言い訳考えないで完踏できたことには大いに感動しています。
「自分は福山城から今治城まで、瀬戸内海を渡るコースを全部自分の足でついにやりとげたのだ!」

これでおしまいのつもりで参加したけど、また来てしまいそうな気がするなあ。

何度もお風呂の中などで目覚めはしましたが、
結局爆睡明けの翌日、
徳島へ向かう辻井さんとお別れして
今回もまた今治名物焼豚玉子飯探検にでかけました。

焼豚玉子飯のガイドブックを見ていると
この1年でも相当のお店が廃業されたようで
お店のラインナップもずいぶん変わっていました。

大丸跡地のすぐそばに笑姫食堂(えひめしょくどう)というところがあり、2013年創業のようです。
11時からということでしたが、
しばらくお店の前の椅子に腰かけて開店を待たせてもらうことにしました。

と、お店の中から「お食事でしたらどうぞ」との声。
開店30分前にも関わらず、
「はやく食事すませていろいろ用事すませたいですもんねー」
と観光客にはありがたいお言葉。

さっそく中に入れてもらい、お目当ての焼豚玉子飯をいただきました。

  期待どおりのおいしさ

B−1グランプリにも出品されているそうで、
コテコテメニューのはずなのにさっくりとしていてなんぼでも食がすすみます。
おすすめです。

お店の方は、なんしかフレンドリーな方で
やたらといろんなこと話しかけてくれて会話がはずみます。
Facebookもやっておられるということで、宣伝に写真撮らせてくれないかということだったので
喜んで協力させてもらいました。

  笑姫食堂さん、おいしいですよ!

ご飯を食べた後はぷらぷらと町の中をさまよって、
今治桟橋から道後温泉へとバスで移動しました。

道後温泉ではまさに湯治。
ゆっくり温泉に浸かって骨やすめしました。

毎年来てるけど、道後温泉はのんびりまったりできてほんとうにいいところです。

  晩ご飯は宇和島風鯛めし御膳。めずらしく愛媛みかんサワーをつけてほろ酔いです。

  鯛めしLOVE!

  道後温泉本館

  駅前の仕掛け時計

この日も速攻で爆睡。
道後温泉の夜はいつもあっという間に更けていきます。

翌朝はふつうに起きて
毎度のことながらお気に入りのレストランで朝食。
ずいぶん筋肉痛もおさまってきました。
マメが痛いのは相変わらずですが…。

  ここの雰囲気好きなんですわ

  朝ごはん

  コーヒーもおいしい

  道後温泉ではお決まりのホテル

  早朝はのんびりしてます。道後温泉本館。

  坊っちゃん列車

  朝8時の仕掛け時計

  松山駅で。バリィさん、また会いましょう!

  同じく松山駅で。出発前のじゃこ天うどん。これは食べとかないと!

  特急しおかぜで岡山まで

  切符たち

  お昼は穴子寿司

  瀬戸大橋通過中

  岡山で新幹線に乗り換え

  旅の思い出

きっとまた来ると思うよ、しまなみ海道と道後温泉!




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