四万十川ウルトラマラソン2014(60kmの部)

(はじめに)
以前は、四万十川ウルトラマラソン「上級者向け」の大会だと思っていました。
しまなみ海道の100kmで制限時間内(16時間)の完走にめどがたってきた去年から
「60kmの部ならいけるのでは?」という気になり、
申込みをはじめて2回目の応募で運良く当選することができました。
倍率は約3倍です。ラッキーです。

コース図をみると、100kmの部はスタートして20kmくらいにすごい坂道(600mの高低差のある山道)がある感じでした。
一方、60kmの部の方は、さほどの登り坂はないように見えます。
でも、これから挑戦する人のために教えてあげます。
60kmでもじゅうぶんきつい坂はあるし、
川沿いの山道コースなので、こまかなのぼりくだりはいっぱいあります。
はっきしいって難コースです。
だからここの100kmは「とてつもなくきつい」コースだと思います。
そのぶんゴールしたときの達成感もすごいと思います。

  コース図         

(交通や宿舎の手配)
いつもは自分でアクセス法を考えて、宿を確保するのも遠征マラソンの楽しみなのですが、
いかんせん当地は交通が不便で、かつ宿泊施設のキャパも小さいです。
100kmの部は前泊も当日泊も四万十市中村(旧中村市)ですが、
60kmの部の前泊は四万十町十川近辺(旧十川村)になります。

参加者数に対して、宿のキャパは絶対的に足りません。
当選の知らせをもらってから直接いくつかの宿にあたってみましたが、
すべてJTBに押さえられているということでした。
ちょっとお高いように感じましたがやむを得ずJTBのツアーに申し込みました。
ま、不案内な土地での旅を手配、案内するってことが旅行業者が担っている大きな役割だと考えると辛抱できます。
インターネットですべて手配できてしまう世の中
アナログにはアナログのよさがありますものね。
ちょっとこのあたりは説明しにくい。
でも旅館が旅行業者によって助けられているのも事実だと思いますデス。

(前日移動日)
土曜日の朝です。
新大阪(9:45発)から新幹線で岡山(10:30着)へ、

  のぞみ9号博多行き         

  のぞみ号到着〜

  どっさり列車を乗り継いでの旅です

岡山(11:05発)からは特急南風で高知(13:40着)へ、

  岡山で南風7号高知行きに乗り換え

  南風号はアンパンマン列車

  列車内の天井もアンパンマン

  瀬戸大橋通過中〜

  大歩危峡通過中〜

高知(13:50発)からは特急あしずりで窪川(14:53着)で乗り換えて(15:10発)予土線の十川駅(15:51着)まで乗り継ぎます。

  窪川であしずり号から予土線各停に乗り換え

  十川駅到着

橿原を8時に出たので、十川に着くまで8時間の旅でした。
なかなか楽しい列車の旅です。

十川駅では大会本部(?)、役場(?)のマイクロバスが迎えに来ていました。
受付会場まで送ってくれました。

  受付風景

さくっと受付をすませて宿へ移動します。
今回はツアーの中では上級クラスの宿をつかうコースに申し込みましたが
十川の前泊も中村の後泊も相部屋指定です。
あまり経験しないことでしたが、それはそれで楽しかったです。
初日は十和温泉という旅館でした。
2人での相部屋。
少し遅れてチェックインしてきたイケメンのにいさんは三重県からの参加でした。
力量を尋ねると、なんとサブスリー。
なのにウルトラでけっこうリタイアしてはるそうです。
速い人ってリタイアしないのだと思い込んでいた私には衝撃的なお話でした。
「速い」ってことと「粘る」ってこと「あきらめない」ってことは別なんですな。
で、帰りの夜行バスの都合で60キロを6時間切りで帰ってこないと間に合わないとのことでした。
信じれん・・・。

部屋の窓から外は四万十川ビューです。
しっとりと落ち着いていい雰囲気でした。
夜中は街灯もまったくなくてほんまに真っ暗で、川のせせらぎだけが聞こえるぜいたくな空間でした。
時間がゆったり流れるのが体感できましたですよ。

  宿の窓から四万十川

  赤い橋を翌日走ることになるそうです

  翌日の準備

今回、ゼッケンにウルトラステッカーというのを貼ることができるようになっていました。
3種類あって、「オレについてこい」「ビギナー」「不安」のなかから選ぶことになってます。
いちおう走歴は30年近いので「ビギナー」とはいえませんので「不安」にしました。
ほんとは「ビミョー」というのがあればいちばんピッタリだったのですが。

17時にお迎えのマイクロバスに乗って前夜祭に行きました。
地元の婦人会のみなさんが中心になって心づくしのもてなしをしてくれはります。

  子どもの太鼓がかわいかった

  おもてなしメニュー

  こんなかんじ

  しし汁の「しし」がとれなかったので「かに汁」になっていた

  すこしいただきました

たけのこ寿司というものが非常に気になりました。
どないしてつくったんやろう、と。

前夜祭のしまいがたに抽選会がありました。
賞品は過去のスタッフジャンパーやスタッフキャップで、
お金をかけないやり方にたいへん好感をもちました。

で、帽子あたりました。
やっぱりうれしいですやん。

  帽子をゲット

最後にみんなで「手のひらを太陽に」「ふるさと」を歌いました。
これはけっこうグッとくる演出ですね。

間髪いれずにみんなに鳴子がまわってきてよさこいを踊ります。
これは楽しかったですわ。
毎年参加する側も、もてなす側も一緒になって「お祭り」を楽しんでいるのでしょう。
心に残る前夜祭でした。

  みんなで歌う

  よさこいはじまる

  自分も踊ってるからうまく写真がとれない

前夜祭のあとは宿の方面別にマイクロバスで送ってもらえます。

前夜祭だけでもけっこうお腹ふくれてしまったのですが、
宿に帰ってからも晩ご飯、ありました(あたりまえですが…)。
こういうところは食事が最高にして唯一のもてなしなんですね。
うれしかったです。
四万十川のうなぎもおいしかったし、も大好きだし、結局全部食べちゃいました。

  晩ご飯の一例

お風呂とごはんのあとは、とってもゆったりと時間がながれる空間を過ごしました。
お風呂(温泉)はつるつる系で、私の大好きな大宇陀温泉龍神温泉と似たような泉質でとても気持ち良かったです。
ちなみにこの日に阪神がCSにて4タテで巨人を破り、日本シリーズ進出を決めました。

(マラソン当日)
朝は6時に起床。
もう一度お風呂にはいりました。
「あー、100kmはもうすでにスタート(5時30分スタート)してるねんなあ」と思いながらほっこりしてました。

  朝ご飯の一例

ボチボチ朝ご飯をたべて、三重のにいさんとまったりしながらテレビを見ておりましたが、
8時30分にはやることもなくなってしまったので会場へ向かうことにしました。
旅館から事務局に手配してくれて迎えに来てくれました。
旅館のひとはめちゃくちゃ親切でとてもうれしかったです。

受付は9時30分まで。
スタートは10時です。
スタート会場も四万十タイムなので、とっても時間がゆったりながれていてなかなか時間が過ぎません。
あちこちうろうろしてました。

  スタート会場はこいのぼり公園

  名探偵コナンの演奏してくれました

  使用前のわたくし

  スタート前(9:53)

10時にスタート。
制限時間は19時30分までの9時間30分

  スタート直後(10:07)

じっくりゆっくり楽しもうという魂胆でしたが、
気候がよかったこともあり、6分/km〜7分/kmというウルトラにしては「やや速め」のペースで入ってしまいました。
ある意味想定どおりです。

  前日泊まった旅館が見えてきた(10:10)

旅館のみなさん、前の道路に出て応援してくれていました。
「昨日はお世話になりました。ありがとうございます〜!」

走りだしからずいぶん暑く感じました。
当日の夜に中村で相部屋になった人の話によると、
100kmを走った人は朝のうちは山の中で日差しが届かなかったのでけっこう涼しかったそうですが、
途中からは逆に思いっきり暑く感じたそうで、
10時にスタートした60kmの部の自分たちは最初からずいぶん日差しが強くて暑く感じました。

  十川橋より(10:13)

  最初の5kmは34分(10:34)

  10km地点。5km〜10kmは32分。(11:06)

給水を取りすぎたのか体調の不調を感じながら走っておりました。
水あたりなのか脱水なのか、へんなカンジでした。

どのへんだったか忘れましたが、
タケモトピアノの例の「ピアノ売ってチョーダイ〜♪、みんなまーるくタケモトピアノ〜♪」っていうCMソングを
エンドレスで流しながら走っている人に追い抜かれました。
楽しそうだったので、できればついて行きたかったです。

  意識もうろうとしたなかで自分の影の写真がとれていました(11:07)

15km手前で四万十のシンボルとされている最初の沈下橋に到着。
沈下橋ではテンションあがりました。

  半家沈下橋を発見!(11:31)

  半家沈下橋(11:32)

  沈下橋通過中〜(11:32)

が、沈下橋をすぎるとえげつなく長い上り坂が待っていました。
とはいえ、まだ20kmも走っていませんので元気は残っています。

元気はあるものの調子はあまりよくないって状態でずっといってました。

  上り坂がはじまった(11:39)

  まだまだ上る(11:42)

  15km地点。10km〜15kmは36分。(11:42)

  20km地点。15km〜20kmは45分。(12:27)

だいぶへたってきました。
上ったぶん、けっこうな下りもあります。
長距離では上りよりも下りの方が要注意です。
ももへのダメージが大きいです。

21.5kmがカヌー館といわれる大規模な休憩所です。
100kmの人にとっては61.5km地点で、100kmの人だけこの地点行きの荷物をあずかってくれています。
60kmの人にはそうしたサービスはありませんが、
給食などが充実しています。

ところが、ここへ着いて最初にアミノバイタルのゼリーを飲んだとたんに
胃の中のものを全部もどしてしまいました。
大ピンチです。
胃がだいぶまいっていたんでしょう。
いろんな給食があったのに残念です。なにも食べられません。

意識はもやっとしてるし、
足もそこそこまいってるしで
「こりゃまずい」というのが実感でした。

気休めで、氷で足をアイシングとかしてみましたが
ほんまに気休めにもなりません。
くたっと横になって、リタイアを意識しました。

「まだはじまって2時間半しかたってないのにリタイアか〜」とか思うと悲しくなります。

しばらくじっとしていましたが回復の兆しはありません。

でも、ウルトラの大会に参加して20kmでリタイアじゃもったいないという思いと、
まだほとんどなにも楽しんでないという思いがふつふつとわいてきて
(というかウルトラ中毒者の理屈に合わない習性か?)
「とにかく拾われるまで歩いてみよう!」という気になりました。

カヌー館にはずいぶん長い間いたのに、結局まったく写真をとっていません。

とぼとぼと歩いてカヌー館をでました。

水ものどを通らないけど手に持ってるペットボトルを手放すのは怖いという思いから
ずっとペットボトルを握りしめながらの旅になりました。

  あいかわらず小刻みなアップダウンはあります(13:37)

  やっとこさ25km地点。20km〜25kmは1時間11分。(13:38)

吐き気と戦いながらの歩きがつづきます。
日差しは最高潮で「これでもか」ってくらい照りつけてきます。

  ふたつめの沈下橋!(14:25)

  岩間沈下橋より(14:26)

  なぜかカメラの前ではあいかわらず元気(14:26)

  やっと半分30km。25km〜30kmは58分。(14:36)

ほどなく普通の橋をわたりました。

  はし〜(14:43)

  なぜにカラ元気がでてしまう?(14:43)

  こころなしか足取りもかろやかなように見えてしまう?(14:43)

ずいぶんふらふらになりながら歩き続けましたが、
けっこう調子も安定してきました。
水を口に含んでも大丈夫になってきました。

すこし気持ちに余裕ができてきたのか
清流シマントを眺めることもできるようになりました。

  心洗われる美しさ(15:20)

  35km。30km〜35kmは57分。(15:29)

  ガッツポーズもうつむきながら(15:30)

自分はやっと半分をすぎたところ。
スタートしてから5時間半。
前半3時間のことを思うとよく続いているなあと思います。

へとへとになりながら1歩ずつ進んでいましたが、
前日、同部屋だった三重のにいさんはこのころ目標どおりゴールに飛び込んでいました。

  三重のにいさんおめでとう(15:55)

ずいぶん歩いてしまいましたが、
100kmの部の人も含めてけっこうまわりにランナーがいます。
しまなみでリタイアが確定していく過程は
まわりから人がだんだん減っていく過程でもありましたので、
しんどくて歩いているとはいえ、
最初の貯金が残っていたのでしょう。

  39.5km関門通過は26分のおつりあり(16:16)

お、関門クリアしてしもたやん!てかんじです。

  40km。35km〜40kmは51分。(16:20)

  そろそろお日さんが傾きはじめた(16:25)

  ちょっと元気がでてきた(16:34)

  日没間近(16:46)

  42kmを6時間47分かかりました。奈良マラソンの完走赤信号です。(16:47)

  45km。40km〜45kmは59分。(17:19)

  お、46.9km関門もクリアしてしもた。おつりは11分。(17:37)

  腕の蛍光バンドが光ってます(17:44)

18時を過ぎると完全に真っ暗になりました。

  こんなかんじ(18:07)

  交通規制がないので車に追い抜かれるときはわりと明るい(18:09)

  街灯がないということはこんなにも怖いのだ、と(18:12)

  50km。45km〜50kmは53分。(18:12)

  道がくねくねしてるのでとってもこわいのじゃ(18:14)

  エイドでペンライトを持たされました(18:22)

最終関門をクリアするまでの2kmがこの大会でいちばんランナーズハイを感じましたです。
応援者から「あと2kmを14分でいけたら最終関門いけるから、ゴールできるで!」っていわれたもんだから気合が入りました。
へとへとに消耗してるとこでキロ7分はとってもきついですが、
がんばればいけそうなビミョーなところです。
しまいがたは涙流しながら関門にたどりつきました。

  最終関門(53.9km)までクリアしてしまった。おつりは22秒!(18:45)

ここでほっこりしてしまったのがいけなかったです。
このあと緊張の糸が切れて歩いてしまいました。

勝手にゴールシーンをイメージしながらまっ暗闇の中でニタニタしながら歩いていたら
19時30分をむかえてしまい、
気がついたら大会本部の車(ミニバン)に追いつかれて
「競技時間すみましたから乗ってくださあーい」って声かけられてしまいました。

あと2kmでゴールというところにいましたので
はっきしいって車に乗っても、歩いたまんまでゴールしても
ゴールに着く時間はあまりかわらないとこまで来てたのですが
そういうルールだそうですから仕方ありません。
ミニバンに乗っけられた4人の同志といっしょにゴールまでドナドナドーナ、ドーナ〜♪と連れられて行ったのです。

ゴール会場はウルトラ独特の熱気がムンムンしていました。
食べ物を受け付けなくなってから約7時間、根性でここまで立て直してこれたことには満足していますが、
やはり完走メダルをかけてもらいたい、という思いがどんどん募ってきます。
再挑戦しますです。

  完走メダルは次回のお楽しみということで

  荷物受取りは19時45分

会場からは市内中心部を循環しているバスでホテルにチェックインしました。

今度は4人の相部屋。
東京からの人が2人、もう一人は結局チェックインしなかったので
結局3人になりました。

ひとりは100km参加、もうひとりは60km参加だったそうです。
おふたりとも完走していました。
60kmのほうの人は去年は途中リタイアだったそうです。

お風呂で塩まめしになった身体から塩分を除去して
晩ご飯を食べてひといきついてみると
両足の親指がいなかっぺ大将みたいにどでかく腫れあがっていました。
6月のしまなみではすぐにつぶしてばい菌が入り、
えらく長引いてしまったので、今回は慎重につぶさないように保護して帰りました。
帰宅後すぐに医者にかかり、1週間かかりましたが、今は落ち着いています。

夜は爆睡でした。
ウルトラの当日夜はこれがたまらないです。

(翌日)
朝はわりとはやいこと起きました。
同室のみなさん旅程が違いますので、
いちばんはやく出かけないといけない自分は
早くにご飯にしました。

  バイキングなので味気ない

中村駅の集合は8時50分でしたが、
循環バスの時間が読めないのでずいぶん早くに駅にいきました。

  中村駅のホーム・その1

  中村駅のホーム・その2

中村駅を9時24分発の南風号で、こんどは岡山まで直通でした。
岡山到着は13時41分。
こんどは行きと帰りで交通手段をかえてもいいかなと思いました。

  高知駅で発車待ち

  大歩危駅車窓

  岡山駅。おつかれちゃん!

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