アジに話しかけるおばはん

釣りは、やはり行くまでがいちばん楽しいです。
前日に仕掛けの準備をしてる時、
橿原から和歌山までの100kmの道中にサビキ太郎師匠とあれこれ話すその日に釣る予定のおサカナの話、
エサ屋で感じるワクワク感…。

しかし、昨夜は悲しい思いで床につきました。
…というのも、仕掛けのセットをしてるときに、
前回のデビュー戦でボウズだったためまだサカナの引きというものを知らない
純真無垢のリョービの磯竿「メタルシア」の穂先を誤って折ってしまったのです。
中アジ爆釣のシモツピアーランドで大活躍するはずだったメタルシア君は
昨夜の時点であえなく入院が決定してしまっていたのです。
やな予感…。

さて、今日は個人的な休日のため、久しぶりの単独釣行でシモツピアーランドでございます。
朝2時に起きて2時半に出発するはずが、全然ねむれません。
1時半には寝るのをあきらめて2時前に出発しました。
道がすいておりましたので、なんと3時半にはシモツピアーランド到着。
しかし、車がすでに20台ほどとまっています。
車中で仮眠中と思われるおいやん連中がどっさり…。
なんちゅう人気や!
私の大好きな水軒地の一文字では夜明け前だと到着次第ケミホタルつけてサクッと釣りはじめますのに
ここでは5時(4時40分?)の開門まで待たなければなりません。
睡眠不足で疲れていたこともあり、この時点で私はもう参ってしまいました。

開門と同時に元気なおいやんたちは先端ボックスをめざして走っていきます。
なんか、やな感じ。
そりゃ、釣れた方がいいにきまっていますが、
きゅうくつな釣りになりそうな感じです(>_<)
で、なんとか先端とまではいかないまでもそこそこの場所をキープしました。
ほどなく開門前に並んでた人たちがみんな座を決め終えました。
そこでおばはん(推定50〜60才)とその連れ合いの登場です。

おばはん  :「にいちゃん、ここはいるでっ!!」
私の心の声:「はいるで!って、みんな釣り場に入った順にそれなりに詰めてはいってますし、
        百歩ゆずって一人は入れても二人は無理でしょう…(しかも私より先端側…)」
       「それに『入れてもらえますか?』やったらまだわかるけど、『はいるでっ!!』ってあんたなあ…」

と気の小さい私がムッとしてると
連れ合いのおいやんと二人してサクサクともうすでにお店を広げたはります。
(ちなみにおばはんは足もとへの投げサビキ、連れ合いは天秤カゴ)
「………」
反対隣りのアベックも強引な幅寄せにちょっぴりムッとしています。
でもまあ、多少のことはお互い譲り合いということで…。
いまから文句ゆうても出ていきそうなひとやないし、
こんなん気にしてたらせっかくの釣りがだいなしやし…。
(とは考え直してみたものの、結局このおばはんが気になってしかたない釣行となってしまいました…。)

  5:20 マリーナシティ側、朝焼けがきれいだったが今から思うと雲がかかりまくってる。

こちらのほうはさっぱりでしたが、
ボックスでポツポツと光るモノがあがりはじめました。
そろそろ時合いと思われます。
続いて先端側のほうでもアジが釣れ始めました。
しかし、私から管理事務所側はさっぱりです。
と、釣りをはじめてから1分たりともだまることなくしゃべりつづけていたおばはんにもアジがかかりはじめました。

「うわっ、さがったさがった!(ウキのこと)」
「アジちゃんよー、いらっしゃーい」
「こらっ、はよあがってこい(アジに向かって)」
「あんたっ!(連れ合いのこと)あんたのさがっとるでー。」
−−−(周囲の人、連れ合いのウキに注目すると)−−−
「うそー(でした)」(相当性悪か?)
などとごきげんです。

タナ取りについては、私、すでに先端であげまくっている常連のおいやんに取材してあって
3ヒロにしてるし、となりのおばはんも3ヒロで同じなので間違いないものと思われます。
とにかく不思議なことに(おばはんを含めて)おばはんより先端側しか釣れません。

反対隣のアベックですが、
こちらはこちらで釣りはじめからずっと
なぜかフグばかりあげています。
でもなんだかのんびりと楽しそうです(^^)
アベック側を見ることで私は気分を紛らしておりました。

と、やっと自分のウキにもアタリがきました。
おばはん:「うおっ、えらいひいとるな、にいちゃんこれはグレやでグレ!グレに間違いない!」
私の心:「ほっといてくれー。そんなはずあるか、アジに決まっとるやんけー。」
やはり中アジが姿を現しました。
しかし、引き上げる途中で
ポッチャーン、さいなら〜〜と…。
痛恨のバラシ。
(ムカッ!ま、おばはんに怒ってもこれは仕方ないけど。)

とりあえずこのたびの時合いで私はアジ1匹をゲット。
おばはん夫妻は十数匹のアジ、反対隣のアベックはアジ0、フグを5匹ほど。
しかし口数の減らないおばはんは相変わらず
「ほーい、あんたはアジフライにしたるでー」とかクーラーボックスのアジに話しかけ続けています。

申し遅れましたが朝のうちは、この場所は手前への潮の流れが速く、
カゴを流してるとすぐに隣の人のところへ流れちゃうので
近くに座った人とのコミュニケーションが不可欠です。
私、アベックとはそれなりに息をあわせてやってました。
おばはんは一人で足もと付近で適当にサビいてますのであんまし問題なかったのですが、
おばはんの連れ合いが天然ボケなのか何なのか前を見ずにカゴを投げるので困りました。
というのも潮の上である私やアベックの前へざくっと投げてきてはオマツリさせよるんです。
最初は「相手は年長者やし、悪気なしなんでしょう」とオマツリをほどいてあげたりしてたんですが、
3回目のオマツリで、私を通りこしてアベックの仕掛けにまでクロスさせて投げ込んで、
しかもこっちがハリス切ったりしてあげてるのに「すまんなー」のひと言も言わないのに及んで
アベックのにいちゃんがプッツンしてしまいました。
でもプッツンして釣りをやめて寝ちゃっただけで抗議はしてませんでしたが…。
ただ「マナーの知らんやつや。こんなこと公道でやってたら事故だらけやんけ…。」
などというボヤキは私にだけは聞こえてました。(ワシもそう思う博士。)

次の時合い。
おばはんは絶好調&舌好調です。
とにかく釣れてない時も口を休めることがなかったおばはんは
(釣れてないときはクーラーボックスのアジに話しかけてた。)
アミエビに「たのむでー」ゆうたり
針に「しっかり引っかけてこい」ゆうたりとにかく完全一人芝居状態です。
ほんまにおばはんに比べたらちょびっとしかアタリのない私のウキ、
しばらく前から前回デビューの「ムーラン2号」に替えてましたがやっとアタリがきました。
ムーラン2号が「スポーン」と消しこまれました。
あせってる私は、こんどはバラさんように、とちょっと大きめに合わせをくれてやってリールを巻きます。
しかし、上がってきたのはアジの口だけ…(^^;
(筆者注:サビキ初心者の皆様へ、アジは口がやわらかいので合わせは必要ありません。)
おばはんが、また隣で「アジは口やらかいもんな〜」と…。
ムカムカッ!そんなもんわかっとるわいっ!(完全におばはんにもてあそばれてる…。)

時合いがきてますよ、とアベックのにいちゃんに教えてあげてからにいちゃんは
「ありがとうございます」と言って起き出して釣りを再開してましたが、
どうやら大きいのがやっとかかったようです。
私もアベックの相方も息をのんで見守ってます。
そこへおばはん:「うおっ、にいちゃんにもやっとアジきたかー」とまた頭から抜けるようなかん高い声でしゃべりかけます。
やな予感。
…やはり上がってきたのは大きなフグでした…(^^ゞ
アベックにいちゃんムカムカムカッ!!

釣りって得てしてこういうものです。
しかし、頭に血が上ってるときはムカムカしてましたが
おばはんもホントはふつうの悪気のないおばはんなのかも知れません。(最初の割り込みをのぞいて。)
子供みたいに無邪気だったし…。
私も釣りをはじめたころで毎週釣りにかよってたころは
サビキ太郎師匠にやかましいくらい話しかけてたかもしれません。
そのうえアジが釣れまくっているのですから饒舌に拍車がかかるのもいたしかたないことかも知れません。
ま、釣れてない人には思いやりのある話しかけ方をしてあげて欲しいですが。
(もしくはそっとしておいてあげてほしい。)

さて、やっとアベックに最初で最後のアジがかかりました。
にいちゃん、私に「ありがとうございました」と…。
よかったですねー。今の、大きかったですなー。」と私(^_^)/







   9:30 めちゃ混んでます。
    この辺の人はみんな開門前から並んだ上にダッシュしてきた人。

ほどなく雨がポツポツと降ってきました。
アベックは早々に退却。
私も一応家族の頭数(4人)分のアジをあげていたので、
気分が晴れなかったこと、身体がくたびれていたこともあって11時で撤収を決めました。
  (何十匹も大きいのをあげていたおばはん一行やクーラー満タンの先端の人との比較で相対的に気分は惨敗でした。)
 

おばはんは相変わらず空に向かって
「雨、やめぇー」と呪文をとなえています。
頭痛くなりました。
なんだかんだで凹んでの帰路、雨足がだんだん強くなり、
本降りになるまでに撤収できたことだけが唯一の救いでした。
しかし、本当にしばらく釣りには行くまいと思うくらい参っていました。
帰宅してほんとクタクタでしたが、このまま寝てしまうと起きられなくなると身体にムチを打って
成果品のアジを刺身にしてからお昼寝しました。

ひと休みしてから晩ご飯にアジの刺身を出すと家族みんな喜んでくれました。
めちゃうれしかった!
サビキ太郎師匠からも深夜からの遠距離釣行でなんとか4匹仕留めてきたことについて
おほめいただきました。
涙ちょちょぎれるほどうれしかったです。
一晩休んでからこの釣行記書いてますが、
爆釣してる人をみてたから惨敗気分で帰ってきたんだけど、
ボウズじゃなくて成果あったし、家族も喜んでくれたし、まずまずだったのかなと思いはじめています。
また、しばらく間をおいて釣りに行こうと思います。
メタルシア君も折れ方がよかった(?)のか、トップガイドの補修費315円だけで速攻で退院してきてくれました(^_^)v

  本日の成果。22〜23cmアジ、しかも肉厚。

  刺身で食べました。




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